IC820で実際に運用してみて当然ですが、色々問題が出てきました。その記録です。(全くノーメンテの25年前の機械で問題なくFT8運用出来る方がおかしいかも・・・)

<周波数変動>
25年物のIC820は立ち上がり時の周波数の変動が気になります。ウォーミングアップを十分に行う必要があります。144Mでは電源ON直後の運用も不可能ではありませんが周波数の変動が丸わかりでかなり恥ずかしいです。430Mは電源ON直後の運用は一寸無理です。(安定するまでに144Mでは100Hz程、430Mではその3倍?動きます。)ウォーミングアップは10分位は必要でした。

<周波数精度、ずれ>
更に問題になるのが周波数ずれです。私の場合中古のSGや周りの人の無線機とを比べてみて144Mで0.4K、430Mで1.2K程ずれていました。どちらもFT8は帯域3K以内での交信ですから対策が必要です。周波数補正の最もお手軽な方法は、SGや信頼できる無線機で144.461M/430.511Mの無変調信号を出してそれをWSJTXで受信します。ウォーターフォール画面でその信号が1KHzに来る様に無線機のVFOを回します。その時の受信周波数を読み取ってWSJTXの送信周波数144.60/430.51の所を書き換えます。運用中、無線機の周波数表示は144.41/430.51ではありませんが周波数ずれ無しで運用出来ます。この方法の欠点はLOGその他にWSJTXから転送される周波数データがずれる事です。なお、WSJTXソフト側にも周波数ずれ補正機能が内蔵されています。設定画面のFrequency Calibrationから修正できます。こちらの方が正攻法ですが周波数偏差の割合を計算して記入する必要があります。マルチバンドで補正する場合はこちらの方が楽ですし、LOGには正しい周波数が記録されます。

<お化け?信号>
IC820とIC-7300では受信性能が全く違います。IC820では一寸強い信号は必ず2-3人の子供信号を連れています。それも単純な3,5,7倍の奇数次ではない信号で状況によってはWSJTXで復調出来たりします。IC-7300では非常にまれにしか見えない状況が日常茶飯事にみられます。強信号時の対策がATTのみというのもかなり厳しいです。割合低いレベルで信号がひずむので何か無線機に問題(劣化)があるのかもしれません。


<WSJTXのコンフィグ切り替え>
ネット検索をしているとWSJTXを1個立ち上げて2台の無線機の設定を切り替えて使う方法を解説されている方がおられました。WSJTXのメイン画面のConfigurationsにもう一つデータを登録する方法です。
Configurationsをクリック、Defaultにカーソルを合わせ、Cloneを選択してコピーを作ります。その後名前を変更します。私の場合はIC-7300とIC-820です。使用する無線機のコンフィグをクリックする事でその無線機に対応する設定のWSJTXに切り替わります。(WSJTXが再起動します。当然のことながら新しい無線機の設定は必要です。)

先日、記録に残したWSJTXの起動オプションを使う方法は独立した新しいWSJTXを立ち上げます。LOGデータ等も別に独立していますので複数同時起動も可能です。Configurations切り替えの方法は従来のWSJTXの設定を複数用意しておいて、「切り替え=指定した設定を読み込のでの再起動」を行っています。ですから、LOGデータ等は従来のLOGデータ上に書き込まれます。
起動オプションを使う方法なら状況によっては2台の無線機の同時モニタが可能です。これはなかなか魅力がありますが、小さなモニタが1台だと何が何やら分から無くなるのがつらいところです。
Configurations切り替えでは2台の無線機の同時モニタは出来ませんが交信済み局等のLOGデータが一つにまとまります。どちらが良いかは使い方次第のようです。