自作のDDS発振器を見た人からの依頼で、DDS VFOを作りました。今回はなんとか実用になる物が出来た様です。

真空管式トランシーバー用です。
発振周波数 2.475~2.725MHz
表示周波数 975.00~225.00KHz(逆ダイヤル)
USB/LSB選択でキャリアーポイント分発振周波数を変える
その他 若干の設定が出来る物です。

ハードについて、
DDSユニットは前回のDDS発振と同じ一寸高価な国産の物を使いました。前回の発振器の改造で済ませばハード、ソフトとも簡単になりそうと云う思惑もありましたが、DDSICの基本性能が低いと云う本質的な問題も抱えています。

と言う事で、以前作ったDDS発振器を若干アレンジし、アンプには前回同様、LMH6702、高速OPAMPを使っています。トランシーバー側がかなりのVFO出力を要求しているので、5Vppオーバー(50Ω)一寸したQRP送信機並のレベルを絞り出しました。このOPAMP、そこそこパワーが出せます。2-30mWなら余裕ですが60mWオーバーだと流石に限界で、歪みが目立ち始め、若干発熱もします。入出力インピーダンス、GAINがある程度自由に決められるので、出力2-30mW、50M位までの広帯域AMPと考えたら結構便利です。このIC、以前は秋月に売ってましたが今は海外入手なのが残念・・・
元々は入力側をDDSの200Ωで動かしていたのですが出力が欲しくてトランスでステップアップ、HI受けしました。それで絞り出したのが60mW。
AD9834_DDS_コリンズ改
ここまで無理しても、まだ出力不足で、結局1段の広帯域アンプを追加しました。(最初から手堅くやっていれば60mW絞り出すみたいな事はする必要は無かったのですが)結局、トロ活百科に記載の回路をコピーした物を追加しました。GAINは27dB以上あり、安定して動きました。後で気がついたのがどうもアイドル電流の設定ミスでAB級動作はしていないようです。 これなら最初からB~C級動作を考えても良かったような・・・? まあ動いてるので良しとしています。

DDSの後ろのフィルターは失敗作、撤去も面倒なので置いています、状態。前段のフィルタは中華のマイクロインダクタ利用の定数もいい加減な物ですが、それなりに効いています。(60mW時のLPF)出力側のフィルタはまともなトロイダルコアを使った物で予定通りの効果はありました。
IMG_1433_1
表示器は以前使って綺麗だった有機ELを使いました。文字がくっきりとしていて発色も良好です。おまけに、反応が高速なので、待ち時間無しでデータ転送が行えます。お金さえ許せば絶対にお勧めです。





ソフトは以前のDDS発振器の物を元に 操作性を先日のゼネカバ受信機を参考にして改変しました。
HFローバンドSSBは1K STEPのチャンネル運用が主流らしいので、1K STEPでサーチ、100/10 SWで 10HzSTEP最終チューニングを想定しています。ハイバンドは100Hz STEPでサーチ、10Hzで最終チューニングですがさてどうでしょうか?ロータリーエンコーダ分解能は50STEP/1回転の物を使い4倍速2倍速1倍速を状況により使い分けています。
また、VFOの最小STEP 5/10Hzや  100Hz STEP時のダイヤル1回転当たりの変化量10K/20K トランシーバー側の局発ずれに対する補正を電源起動時のオプションで用意してあります。
IMG_1442
ケースはタカチのUC20-8-14です。もっと小型にも出来そうですが、完成してみるとこの位の大きさはあった方が良いかなと思います。
操作性が同じなので 先日のゼネカバ受信機によく似ています。
 



以下はざっとした使い方の説明です。

  1.<電源ON時の立ち上がり状態>
  VFO AcH     MEMO DATA
  VFO BcH     100.00KHz LSB 10HzSTEP (固定値)

2.<SW操作(両ハネ トグルSW)>
    1K               : 1K STEP         選択
       100/10           : 100/10Hz    STEP切替
       A/B                : AcH/Bch               切替
       USB<-->LSB : USB/LSB               切替
       MEMO       : 短押し     MEMO-->VFO 読み込み
                         : 長押し     VFO -->MEMO書き込み*******(MEMOは不揮発MEMORY)

3.<起動オプション>(設定後、自動再起動)
  LSB  ONで起動  : LSB時のVFO周波数補正    (±32.76K)
       USB  ONで起動  : USB時のVFO周波数補正    (±32.76K)
       MEMO ONで起動 : 最小  STEPの選択                  (5Hz,10Hz)
  A/B  ONで起動   : 100Hz STEP ダイヤルSPEED   (HI / LOW)
                                                          HI    :20KHz/ダイヤル1回転
                  LO :10KHz/ダイヤル1回転
 
 ※ VFOダイヤルで設定後 A/B SWでDATA書き込み、再起動します。


いつかVFOを作ろうとバリコン、ギアダイヤル、コイルボビン、温度補償コンデンサを集めてましたが無駄になった様です。気合いを入れたアナログVFOはもう作る必要は無いですね。


追記
AMAZONにいかにも怪しげな、中華のLMH6702、5個1000円程を発見、試しに発注。数週間後に到着したのはよく見るテープ状のケースに並んだ物では無く完全にバラバラの物がビニル袋に入ってました。かなり怪しいです。手持ちも若干有るしテストの為にプリント基板を作るのも面倒で本物かどうかは不明のまま。